世界には怪しげなテーマパークが存在しますが、その頂点に君臨するのはバンクシーらが手掛けた「ディスマランド」でしょう。「子供連れには向きません」というキャッチフレーズではじまるテーマパークには、馬車で事故を起こしたシンデレラの死体にたかるパパラッチ、歪みきったアリエルなどディズニーランドとは程遠い生々しいシーンが多数存在します。この記事では、バンクシーのねじれた「ディスマランド 」テーマパークで撮影された16枚の写真をご紹介します。
皮肉に満ちた、ダークなテーマパーク
ディズマランドとは
ディズマランドは、ストリートアーティストのバンクシーが企画したテーマパークです。閉鎖されたプールに突如として現れ、バンクシーはこれを「子供にはふさわしくない家族向けのテーマパーク」と表現しました。
1日4,000枚のチケットが販売され、価格は1枚3ポンド(約400円)。開園5週間で15万人の来場者があり、地元への経済効果は約2000万ポンドとされています。ディズマランドで使用された木材や設備は、閉園後、フランスのカレーで難民キャンプのシェルター建設に利用されました。
ディズニーランドへの反逆
現在横浜で開かれている「バンクシー展」では彼が残したアートが多数展示されており、その中でも目をひくのが消費社会といった資本主義を根底から否定するような『ディズマランド』の存在です。あまりにひねくれた、夢の国ディズニ-ランドの正反対の姿。世界や人間のダークな部分をあらわにしたテーマパークに、訪れた者は思わず引き込まれてしまう不思議な世界観の遊園地です。
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恐怖をよんだディズマランドの写真16枚
ディズマランドの入り口、置かれている備品はここが二次元なのか、三次元なのかを思わず錯覚させるつくり。
15年前に閉鎖した屋外プール施設の跡地を改装して設置されたディズマランドは、入園から退園まで、園内はすべてひねくれたユーモアに包まれています。
芸術作品の多くは、現代の娯楽に対する鋭い批評です。これは、2013年のドキュメンタリー映画「ブラックフィッシュ」で破壊されたSea Worldを撮影したもののようです。(やたらと小さいプールに皮肉を感じる)
負のオーラをまとったアテンダントが、アトラクションに向かうゲストに「喜びを終わらせる」と言い、安全ベストとマウス・イヤー・ハットを着用させるところです。手にしているのは、おぞましいテーマパークのパンフレットです。
「ビッグ・リグ・ジグ」と呼ばれるこのインスタレーションは、2台の石油トラックが熱狂的な踊りに巻き込まれる様子を描いています。
派手なメリーゴーランドが出ていますが、何かおかしいです。
シンデレラの馬車が、不気味な城の外に墜落したシーンです。まんなかに写るのはシンデレラの死体。パパラッチに囲まれる姿は、事故死したダイアナ妃をも思い起こさせます。
目に入るのは、経済的不平等を非難する壁画。生い茂ったラグーンの上に不安定にぶら下がっています。
カモメに飲み込まれた女性の彫刻は、最近ニュースになったイギリスの海岸でますます攻撃的なカモメを示唆しています。
荒れた砂場は、5,000%の金利を提供している融資事務所のすぐ隣にあります。
ガタガタとした観覧車からは、公園とその周辺の景色が一望できます。
おどろおどろしい、薄暗い城。
無気力なスタッフの後ろにあるのはトイレットペーパーでできたピクニックテーブル
お菓子のパッケージに書かれた文字は、つなげると「あなたの夢は、わたしの悪夢 (Your dreams are my NIGHTMARES)」となり、消費者主義や娯楽に対する同園の皮肉な見方を助長しています。
いきなりあらわれるキノコ雲、世界でおこったダークな出来事が散りばめられています。
難民がたくさんのったボートは、ヨーロッパに押し寄せる移民問題を示唆しています。
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ディズマランドとはなんだったのか
ディスマランドにこめられたのは、様々な箇所で示唆されている強力な政治的メッセージです。バンクシーは過去にも物議を醸すような華々しいイベントを企画してきましたので、不思議ではありません。
移民の扱い、経済的困難、死や苦しみ。大量消費社会の闇。行けば絶望的で憂うつな気持ちになることは間違いないでしょうが、ディズニーの色眼鏡をはずし現実の社会的環境をみることができるでしょう。開園されたのはたった5週間、2015年には完全に閉園されたディズマランドですが、今も残されたアートや写真を通してバンクシーやアーティストらが現代社会へこめた痛烈な風刺が伝わってくるのでした。
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