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ガイアの夜明け「大戸屋炎上」にみる短期雇用のリスクと、外国人労働者の現状

2019/12/20
 
大戸屋炎上
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バンクーバー留学後、現地貿易会社にてインターン。貿易職を5年、世界30カ国以上の取引に携わる。通信会社にて通訳、翻訳に従事。フリーの翻訳やイベンター、司会業など複数の職を持ち英会話スクールのカウンセラーを併任。ダーリンはアメリカ人、ゆるゆる仲良くやっています。

1210日放送の経済番組「ガイアの夜明け」では、大戸屋の働き方改革が特集され波紋をよんだ。番組では長時間労働に悩む3人の店主に密着し、大戸屋が抱える労働環境の課題を浮き彫りにした。そもそも人手が店主が自ら動かなければいけない事態にくわえて、働き方改革にある「残業は45時間未満」が彼らを苦しめる改善しようにもバイトが集まらない姿は、現代の飲食店の現状を赤裸々に映し出していたそもそも「外国人労働者」がいるからまだ大丈夫、というのは甘いようにも思えるこの記事では、そもそもの「外国人労働者」の現実を記していきたい。

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外国人労働者の甘い罠

ガイアの夜明け「大戸屋炎上事件」にみる、外国人労働者の現状

現在の日本は少子高齢化が進み、多くの産業で人手不足が発生しているそこで海外からの安価な労働者を増やして、彼らにたくさん働いてもらおうという考えが出てくるのは自然なことかもしれない。でも大戸屋の「外国人労働者」にみえるように、彼らは「一時的な労働者」でしかない。

ガイアの夜明け 大戸屋(画像:ガイアの夜明け 公式サイトより引用)

大戸屋の一人の店主は、人手が足りない部分を「タイミー(その日限りのアルバイト)」を多く利用し、その月の残業時間を規定内おさめたその月は丸く収まったようにみえたが、問題は翌月だ。

  • タイミーはその日限りなので、毎度おしえなくてはいけない
  • いきなりのドタキャンがあるので、結局出勤しなくてはいけない
  • その日限りなので、人材が育たない

後回しにした問題は、忘れた頃にやってくる、そして「その場をしのぎ」を繰り返す日々が続くのだった。

 

外国人労働者は「一時的な人材」であり、「移民」ではない

ガイアの夜明け「大戸屋炎上事件」にみる、外国人労働者の現状

日本政府は頑なに「外国からの移民を受け入れない」立場を取っているコンビニや居酒屋などで外国人労働者をみない日はないが、彼らは主に、

  • 留学生として学びにやってくる外国人労働者か、
  • 技術実習生 (3年~5年といった期限つき ※条件により延長あり)

。日本の最先端の現場で、先進的な技術などにふれ、学び、それを母国へもちかえって、発展に生かすのが目的だ。後者はどちらかというと農業、水産加工業、建築業、製造業などの「安い、きつい」または「日本人がやりたがらない」といった肉体的負担の大きい労働を請け負うことが多いという。

 

借金漬けの外国人労働者、日本に来るにもお金が必要

ガイアの夜明け「大戸屋炎上事件」にみる、外国人労働者の現状

大戸屋の話しからは少しはずれるが、そもそも実習生たちは渡航までに多大な費用を負担している留学生 (または実習生) の多くが、現地の仲介業者に多額の仲介料を支払い、借金をして日本にきているのだ。

「少しでも多くの収入を日本で稼ぐことができるなら」と、家族ぐるみで必要な費用を捻出して (借金して) 渡航するが、用意された寮は劣悪で、また長時間労働を強いられたり、残業代が払われなかったりと、劣悪な状況が重なり逃げ出す労働者もいるという。また雇用契約書を「実習生」が保持しておらず主張できないケースもあるという。アメリカン・ドリームならぬ、ジャパニーズドリームはどこにもないと日本にきて知るのだ。

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大戸屋の事例にみれる、深刻な人材不足

ガイアの夜明け「大戸屋炎上事件」にみる、外国人労働者の現状

現在の日本は少子高齢化が進み、多くの産業で慢性的な人手不足が続いている海外からくる「一時的な労働者」を増やすことは、一時しのぎになるかもしれないが、長期的にみると非常にリスキーである。考えるべきは、「いかに安く働き手を確保するか」ではなく、「いかに少ない人手でも生産 (運営)を維持できるような仕組みをつくるか」。そのためにトップは頭を使うべきであって、「お店なくなるよ?」と社長が店主を頭ごなしに叱るのは言語道断だ。

 

手段と目的が逆になって、おかしなことに

ガイアの夜明け「大戸屋炎上事件」にみる、外国人労働者の現状

大戸屋の事例では、そもそも何のための「残業削減」なのかが不明確になっていた「働き方改革」という名のもとで、実際には従業員がつらい状態に追い詰められていた。そもそも生産性の向上を目的とし、そのための手段として「残業削減」があるはずなのに、「残業を削減すること」が目的になってしまっていた。完全なる逆転状態だ。

組織は大きくなるほどに、本来の目的を忘れて、手段を目的として動いてしまいがちである。本来ならば「個人の生活が余裕のあるものになるため」の政策なのに、「残業を削減すること」が目的になりさらに社長にいたっては「会社としての罰則を避けるために、店長に圧力をかける」という本末転倒な事態がおこっていた。

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人材不足は日本だけではない、アジアでは争奪戦に

今やグローバル化によって、モノ(物流)だけでなく、ヒト(人材確保) も国境をこえて争奪戦がはじまっている実際実習生のなかには、「もう日本には来たくない」として、日本の労働市場にネガティブな見解を残して国を去っていく人もいるというこれらの噂が蔓延すると、後に日本は「質の高い外国人労働者」を失うことにもなりかねない。

ベトナムやミャンマー、フィリピンなどから工業化を遂げたタイの工場に出稼ぎにいく労働者も増え始めており、韓国は日本以上に外国人を処遇して外国人労働者を増やしているという。さらに眠れる獅子、中国も高齢化が進み、若者が減っていくと外国人材を本気で呼び始める可能性もある。そうなったとき、日本がこれまでどおりアジアから労働者を安定的に確保できる保証はないのだ。

 

国際社会から批判される、日本の現代奴隷法

現代奴隷法

2015年、イギリスでは「現代奴隷法 (UK Modern Slavery Act 2015)」という、ショッキングな名称の法律が制定された。英国で事業を行う企業に対して、奴隷労働と人身取引がないことを担保するために実施した取り組みである。

実は日本でも現代の奴隷制があると指摘されている。オーストラリアの国際人権NGOウォーク・フリー財団の2016年の報告書では、日本では29万人が現代の奴隷制下にあると見積もられており、「外国人技能実習制度」が特に現代の奴隷制度を助長するものとして国際社会から見られているのだ。

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あとがきにかえて

ガイアの夜明け「大戸屋炎上事件」にみる、外国人労働者の現状

もちろん善良な事業主のもとで、十分な実習を積み、祖国へ帰って活躍している例もみられるので全てではないただこの大戸屋炎上にみえることと同様、物事を端的にみることは非常にリスキーであり、事業主と雇用者がwin winな関係を築けるような仕組みが遠からず必要になってくるのだろう。さいごに、大戸屋で味わえる、厨房で手作りされる優しい味になんども癒されてきた身としては、店主、お店で働くスタッフを含めて、良い方向へ向かって欲しいと願うばかりである。

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バンクーバー留学後、現地貿易会社にてインターン。貿易職を5年、世界30カ国以上の取引に携わる。通信会社にて通訳、翻訳に従事。フリーの翻訳やイベンター、司会業など複数の職を持ち英会話スクールのカウンセラーを併任。ダーリンはアメリカ人、ゆるゆる仲良くやっています。

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