【メアリー・ステュアートが処刑された理由】波乱に満ちた女王の最期

イギリスの歴史

スコットランド女王だったメアリー・ステュアート。奇抜な恋愛遍歴を持つ彼女は政治的な陰謀や宗教戦争、権力闘争に巻き込まれ、悲劇的な結末を迎えた女性としても知られています。しかし彼女は、なぜ処刑されなければならなかったのでしょうか。この記事では、彼女が処刑された理由についてみていきたいとおもいます。

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生まれながらの女王

処刑に至った理由には、彼女の出自が大きく関係しています。

メアリー・ステュアートは、スコットランド王ジェームズ5世とフランスのマリー・ド・ギーズの娘として1542年に生まれました。父王は彼女が生まれた翌日に死去し、メアリーはわずか6日でスコットランドの王位を継承することになったのです。

スコットランド女王として、メアリーは若くして政治的な陰謀に巻き込まれていくことになります。スコットランドの王位に目をつけたイングランド王ヘンリー8世の手から逃れるため、母のはからいでフランス宮廷へ嫁ぎますが夫は早逝。まだ若いうちにスコットランドへ舞い戻ったのでした。

スコットランド内での反感

処刑理由には複雑な情勢が絡んでいますが、プロテスタント派やスコットランド貴族と対立したことが、ひとつの要因とされています。カトリック教徒として育ったメアリーは、宗教的な側面からスコットランドのプロテスタント派と対立していました。また彼女は新しい恋人と生きるため旦那殺しを企むなど、その奇抜な恋愛遍歴で、女王としての立場に疑問を持たれるようになっていました。

そこでスコットランドの貴族は、メアリーではなく、ジェームズ1世を担ぎ上げるようになっていきます。ついにメアリーは1578年には投獄され、イングランドにいるいとこのエリザベス1世の元へと亡命することとなりました。

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イングランドとのいざこざ

彼女がイングランドに亡命した後、ジェームズ6世はスコットランドにおいて正当な王位継承者とされました。亡命して一命を取り留めたメアリーでしたが、1586年には「エリザベス1世暗殺を計画した」という証拠が発見され、スパイ行為と反逆罪で有罪判決を受けることになります。

メアリーは王位を狙っているとしてエリザベス1世の周りは、彼女を処分することを求めました。しかし、彼女の処刑に対するエリザベス1世の判断は、簡単なものではありませんでした。メアリーはカトリック教徒であり、彼女の処刑はスペインやフランスなどのカトリック国家との関係を悪化させる可能性があったからです。

また、彼女はエリザベス1世の同情を引き、自由を取り戻すための密かな工作も行っていました。しかし、メアリーが起こした陰謀や反逆の証拠は非常に確固たるものであり、エリザベス1世は彼女をやむなく処刑する決断を下すことになりました。

メアリーの処刑についての後説

1587年12月8日、メアリー・ステュアートはフォッシュ・クローズ城において斬首されました。

彼女の最後の言葉は、「私の子孫が、この地位を手中に入れることであろう」というものでした。バージンクイーンと呼ばれ生涯独身を貫いたエリザベス1世に子供はおらず、皮肉にも彼女の後を継いだのは、メアリー・ステュアートの子孫でありました。

メアリー・ステュアートの死は、イギリス史上において最も論争を呼んでいる事件の一つであり、多くの人々がその正当性に疑問を呈しています。彼女はある種「政治的な犠牲者」として、処刑されたわけですが、その死に至るまでの経緯は様々な要因が絡み合って複雑だとされています。

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まとめ

スコットランドを負われイングランドへ亡命したものの、「イングランド王位を狙っている」として処刑されたメアリー・ステュアート。実は彼女の処刑理由については諸説あり、反逆罪で処刑されたとされているが、その反逆罪が本当に成立するものだったのかについても疑問が呈されています。

彼女が関与したとされるバビントン陰謀事件は、実際には警察による挑発事件だったという説もあり、さらに、彼女が処刑された理由については、エリザベス1世の不興を買ったことや、彼女自身がカトリックであったことも関係しているとする見方もあります。

メアリー・ステュアートの死は、政治的な混乱や宗教的対立を助長することとなったわけですが、それと同時に、イギリス王国の成立 (ジェームズ1世が即位したことで、スコットランドとイングランドが同君連合として統合され、イギリス王国が成立した) や宗教的寛容政策の推進など、歴史に大きな影響を与えた出来事のひとつだといわれています。

処刑は一発ではうまくいかず、2回、3回と斧が振り下ろされたともいわれており、この「失敗」には彼女の非情な最期を象徴しているともいわれているのでした。

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管理人

歴史オタクの英日翻訳者。

スペインの児童書「ベラスケスと十字の謎 」に魅了され、世界史に夢中に。読み漁った文献は国内外あわせて100書以上。史実をもとに、絵画や芸術品の背景にある人間ドラマを炙り出します。

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