グレタ・トゥーンベリ(Greta Thunberg)さんは、スウェーデンの環境活動家。「How dare you! (よくもこんなに酷いことを!)」世界のリーダーを叱咤したスピーチで一躍注目の人となりました。彼女は「気候変動運動にこれ以上の賞は必要ない」という理由で、北欧評議会から環境賞を受け入れることを拒否しました。今日は受賞拒否の理由と、批判に対してのコメントなど、彼女が海外メディアに語った言葉を翻訳してご紹介します。
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2019年 グレタさんの功績
国連気候変動対策サミットで力強いスピーチが世界中に響き渡ってから数日後、グレタさんは「代替ノーベル賞 (alternative nobel rize)」と呼ばれる国際賞の受賞者4人(103,000ドル相当)に選ばれました。世界の指導者たちが自分の世代を裏切っていると非難した感情的な演説が話題となり、スウェーデンの毎年恒例のライツ・ライブリフッド賞の審査員たちから「科学的事実を反映した気候変動への緊急対応を求める政治的要求を刺激した、増幅させた」として表彰されました。
彼女は「この名誉ある受賞者の一人になれたことに深く感謝しています」と述べました。ちなみにグレタさん(16)は、米タイム誌「今年の人」に史上最年少で選ばれています。(参考記事:【How dare you ! グレタさん国連で怒りのスピーチ】日本語全訳)
グレタさんが過去に、受賞拒否を続けていた理由
しかし彼女は「気候変動はこれ以上の賞品を必要としない」という理由で、北欧評議会からの環境賞(52,000ドル相当) の受賞を辞退した事実もあります。気候活動家の仲間であるソフィアとイザベラ・アクセルソンが火曜日に読み上げた声明の中で、彼女は北欧評議会の受賞に感謝をあらわす一方で、しかしそれよりもっと取り組むべき重要な問題があると述べました。グレタさんは「私たちが必要としているのは、統治者や政治家が調査に耳を傾けることです」とし、「気候変動はこれ以上の賞品を必要としません」と語りました。
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国際こども平和賞を受賞、米国から欧州へは船で移動
グレタさんは2019年、『国際子ども平和賞(Children’s Peace Prize)』も受賞しています。子ども平和賞は10万ユーロの助成金とリンクしており、これは受賞者の大義に関連したプロジェクトに投資されます。ちなみにグレタさんは温暖化を極力避けたいとして、12月初旬にマドリードで開催される国連気候変動サミットに出席するため、11月中旬に米国を離れ、双胴船でヨーロッパへと渡りました。
ハーグでの授賞式では直接受賞できませんでしたが、彼女は「この賞にとても感謝し光栄に思います」というメッセージを送っています。
グレタさんにのしかかる世界からの批判
数々の賞を受賞するグレタさんですが、世界中で学校のストライキやストライキにつながった気候変動抗議運動を主導しているとして、保守派からは厳しく批判されています。英国のある国会議員は彼女を「エコロジーのジャスティン・ビーバー」と呼び、他の多くの議員は彼女の外見と自閉症スペクトラムであるという事実を批判しました。
アメリカのトランプ大統領は「彼女は明るく素晴らしい未来を楽しみにしているとても幸せな少女だ」と、自身のスピーチのビデオクリップを含むツイートで発信。16歳の彼女は、ツイッターの経歴を「明るく素晴らしい未来を楽しみにしているとても幸せな少女」に変えることで応ました。
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グレタさんは、アスペルガー批判に対してこうコメント
グレタさんはこういった批判に対して、ツイッターでこうコメントしています。
「もし人々があなたの”見た目”や、”違い”を攻撃するならば、それは彼らはそれしか攻撃する場所がないということでしょう。それはあなたが勝っている、ということです。わたしはアスペルガーをもっています、ときに人と違うこともあります。でもその違いは、時によっては、誰にもできないような、ものすごいパワーにかわるんですよ」
“When haters go after your looks and differences, it means they have nowhere left to go. And then you know you’re winning! I have Aspergers and that means I’m sometimes a bit different from the norm. And — given the right circumstances- being different is a superpower.”
気候問題の専門家は、この事態をどうみるのか
気候問題の専門家たちは、気候変動が文明にとって実存的な脅威となるという点で意見を一致させており、すでに洪水、干ばつ、熱波、山火事につながっていることを示唆しています。また解決策として、炭素税を課すなどの控えめなものから、米国などの国の構造基盤を塗り替えるグリーンニューディールなどのより大きなものまで、さまざまなものが挙げられています。
自主的にコミットする国と銀行
実際のところ、パリ協定での各政府の削減目標が達成されても「ゴール (温度上昇を1.5℃~2℃以内におさえる)」ことは不可能だといわれています。また今回のCOP25では、銀行からも巨大な宣言がありました。
2019年9月23日には、『銀行の融資が、環境や社会にどのような影響を与えているかを自主的に測定し公表していく”国連責任銀行原則”』が発足、世界から131の銀行が自主的に署名したといいます。世界的に「CO2排出の多い企業への融資」を見直す大きな流れが作られ始めているのです。
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あとがきにかえて
日本ではグレタさんばかりが注目を集めていますが、世界ではCO2削減に向け、すでに大きな流れができ始めています。しかし日本は不名誉にも”地球温暖化対策に後ろ向きと認定された国が選ばれる不名誉な賞、「化石賞」を国際環境NGOから贈られてしまいました。日本政府としては、2050年までのCO2ゼロにも、2020年までの削減目標引き上げにも参加していません。ちょっとやそっとの省エネや節電だけでは、到底たどり着けないパリ協定のコミット。グレタさんの怒りの声を真摯に受け止めなくてはならないのは、いったいどこの国なのでしょうか…
グレタさんの気候変動スピーチ全文はコチラです。
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参考にした記事
- https://edition.cnn.com/2019/09/25/world/greta-thunberg-right-livelihood-nobel-trnd/index.html
- https://parentology.com/climate-activist-greta-thunberg-named-amnesty-international-2019-ambassador-of-conscience/
- https://www.theguardian.com/global-development/2019/sep/25/greta-thunberg-wins-alternative-nobel-environmental-work-guo-jianmei-right-livelihood-awards
- https://news.yahoo.com/greta-thunberg-trump-twitter-bio-very-happy-young-girl-looking-forward-bright-wonderful-future-162228420.html
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