NSAとスノーデン【本当に怖い監視社会、世界の情報を握ったアメリカ諜報機関】

監視社会都市伝説

何年か前に流れたこんな噂「勝手にカメラをオンにして人の生活を盗み見ている」「パソコンの内蔵カメラにより市民の活動が監視されている」。これは都市伝説などではなく、実際にアメリカの情報機関であるNSAは、一部政府と結託してテロ防止と称し話やメール内容を傍受していました。それはときに、電子機器に内蔵されたカメラをオンにしライブ映像で見ることも可能だったといいます。この記事では、告発により明るみにでたアメリカの国家安全保障局 (NSA)のタブーについて深掘りしていくとともに、告発を行ったスノーデン氏の現在についてもふれていきたいとおもいます。

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アメリカの国家安全保障局 (NSA)とは

監視社会

アメリカの国家安全保障局 (NSA)は、国防総省に所属する諜報機関です。

アメリカの諜報機関といえばCIA (中央情報局)が思い浮かぶ人も多いかもしれませんが、実際はNSAの方がはるかに大きく、の規模は各国の諜報機関の中でも最大級です。そして同じ諜報機関といっても、CIANSAでは役割が全く違い、CIAは人を使って諜報活動や秘密工作などを行う実働で、NSAの任務は電子機器を利用して、情報収集や分析、暗号解読などを行うことです。

1952年に創設されて以来、NSAの存在は何十年も伏せられてきました。そのため、NSAの名前は「No such agency (そんな機関はない)」の略だとするジョークがあるほど。今でも正確な人員や予算や拠点などは明らかにされていません。

 

NSAの暴走を明らかにしたスノーデン氏の告発

エドワードスノーデン

そんな秘密のベールに包まれたNSAの内部情報を告発したのが、エドワードスノーデン

ドキュメンタリー映画にもなり、日本中にも広く知れ渡ったこの告発内容は世界に衝撃を与えるものでした。スノーデンは告発の理由を「世界中の、先進的だと言われる政府がこのプライバシーを守るという約束を軽視しているのを目撃した」「アメリカ政府が行っているプライバシー侵害は重大な問題だ。機密文書の存在を明らかにしたので、ぼくは告発するに至った」と語りました。映画には大量監視の現場を目の当たりにした複雑な心情が描かれ、独白本にも1人で巨大組織に立ち向かった男の葛藤が記されています。

実際NSAが何をしたかというと、彼らはハイテク技術を駆使して、さまざまな手法で個人情報を盗んでいたのです。

 

公になった、極秘情報収集プログラムの存在

監視社会

NSAの主な目的は、元々冷戦中に旧ソ連に関わる情報を集めることでした。やがて、その目的は「アメリカ同時多発テロの防止」に大きく転換していきます。しかし、そのやり方はプライバシーを完全に無視した監視活動といったほうが近いでしょう。

スノーデンが告発した一連の騒動で、PRISM (プリズム)」と呼ばれる極秘情報収集プログラムの存在が明らかとなりました。これはメールや動画、閲覧したサイトから音声までネット上のありとあらゆる個人情報を集めるシステムです。大型のネット中継基地のメイン回路に侵入し、一度に数十万代もの通信記録を入手できるのです。また、そうした情報をデータベース化している可能性もあるといわれていました。

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軍事目的の通信傍受 (シギント)システム

エシュロン

またエシュロンというシステムを通過って世界規模での通信傍受を行なっていることも明らかになりました。

エシュロンは世界中の電話やメール、ネット、衛生通信などあらゆる電子情報の傍受が可能だという高性能のシステムです。ただし、情報量が多すぎて分析が追いつかないというのも事実です。とくに外国語は翻訳する必要があり、人材がとにかく足りないのです。実際アメリカ同時多発テロでは「明日、決行する」という情報を入手していたにもかかわらず、解析できたのはテロの翌日でした。

NSAは、基本的に電話の盗聴はしておらず、ネットの情報収集もアメリカ国外に住む人を対象にしていると釈明しましたが、多くのアメリカ人はこれを信じていません。告発後はアメリカを中心に、多くの人々が勝手に覗かれないようスマホやPCのカメラにテープを貼る事態になりました。

 

日本もターゲット国だった

エシュロン

もちろん、日本もNSAのターゲットとなっています。

日本が注目され始めたのは1990年代で、この頃から大量の外交情報が傍受されていました。1995年に行われた日米自動車交渉では、橋本龍太郎通産相が東京とやり取りする電話がすべて盗聴され、アメリカ側の代表に報告されていたという生々しい例もあります。つまり、交渉前から手の内をすっかり読まれていたのです。

スノーデンの告発によると、日本にでも大量監視が勝手に行われていました。エピックシェルター自体は表面上、有事の際、様々なシステムが復旧できる便利なものです。しかし実際、NSAはそれにかこつけて、密かに別のプログラムも忍ばせていたのです。それは、通信システムや物的なインフラ送電網や、ダムなどに密かに忍ばされており、日本国が同盟を外れた場合は日本の基幹システムを不能にする目論があったといいます。

 

エドワードスノーデンの現在

20135月、スノーデンは香港に飛び、ジャーナリストに告発を行ったあとロシアへと亡命しました。

ちなみに当時は彼女であったリンゼイ・ミルズもその後ロシアへと渡っています。スノーデンは当初怒られるだろうと覚悟していましたが、彼女は彼を愛しており、NSAを暴露するという彼の決定を最終的に支持したと述べました。二人は2017年にロシアで結婚しました。

ロシアへの滞在は一時的だとされていましたが、2020年の終わりにロシアでの永住権を獲得しました。20208月、トランプ大統領がスノーデン氏に対する恩赦をほのめかしたことから、米国に戻る可能性も考えられていましたが、現在彼がアメリカへ一時的にでも渡ることは示唆されていません。当時の司法長官ビル・バーも「彼は裏切り者で、彼がわれわれの敵対者に提供した情報は米国民の安全を大きく傷つけた」として、恩赦の可能性に激しく反対しています。

202012月下旬、スノーデンは子供が生まれたことをツイッターに投稿。「最高の贈り物は私たちが共に分かち合う愛です」 というメッセージとともに、彼と妻、生まれたばかりの子どもの写真を見ることができます。

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まとめ

エドワードスノーデン

アメリカの国家安全保障局 (NSA)は、国防総省に所属する諜報機関です。ことの経緯としては、

  • NSAは同時多発テロの防止として、世界中からあらゆる情報を収集していた
  • そのやり方はプライバシーを完全に無視した監視活動といったほうが近く
  • エドワードスノーデンが内部情報を告発
  • そのスノーデンはアメリカを追われたがロシアへ亡命、
  • 2021年には永住権を獲得して妻子とともにロシアで暮らしてる

といった顛末でありました。人々は当初スノーデンの意見を反逆的だと見てきましたが、最近の世論調査によると、多くの人がこのリークに感謝するようになっているそうです。映画『スノーデン』の中では、自分たちの仕事 (NSA)のおかげでテロが未然に防げているのだと、モラルを問う部下へ上司がその重要性を強調するシーンもありました。

しかし内密に、善良な一般市民の私生活まで覗き見るのはいかがなものでしょうか。スノーデンの告発がなかったら、私たちは今もスマホやパソコンを通じて私生活を監視する、大量監視社会の中に置かれていたのかもしれません。いや、もしかしたら今でも何処かでそれは続けられている可能性も完全に否定はできないのでした。

世界を震撼させた事件シリーズ

参考文献

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管理人

歴史オタクの英日翻訳者。

スペインの児童書「ベラスケスと十字の謎 」に魅了され、世界史に夢中に。読み漁った文献は国内外あわせて100書以上。史実をもとに、絵画や芸術品の背景にある人間ドラマを炙り出します。

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