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【名画オフィーリアをわかりやすく解説】川に沈みゆく美女は誰か

 
オフィーリア
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バンクーバー留学後、現地貿易会社にてインターン。貿易職を5年、世界30カ国以上の取引に携わる。通信会社にて通訳、翻訳に従事。フリーの翻訳やイベンター、司会業など複数の職を持ち英会話スクールのカウンセラーを併任。ダーリンはアメリカ人、ゆるゆる仲良くやっています。

ジョン・エヴァレット・ミレーによる絵画、オフィーリアオフィーリアはシェイクスピアの戯曲『ハムレット』の登場人物であり、キャンパスには高貴な女性が歌を口ずさみながら川に落ちて溺れていく様子が描かれています

オフィーリア

その美しさや自然の風景の正確な描写で賞賛される『オフィーリア』、なぜ彼女は悲しそうな顔をしているのか。画家はどんな風にこの絵を描き上げたのか、この記事では名画『オフィーリア』の背景に迫っていきます。

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絵画オフィーリアの題材

シェイクスピアの戯曲 ハムレット

ハムレット

川に浮かぶ美しい女性オフィーリア元々はシェイクスピアの戯曲ハムレットに登場する女性でした。『ハムレット』は、デンマーク王子の悲劇としても知られ、王子ハムレット父を殺した伯父たちへ復讐していく物語です。

 

ハムレットのあらすじ

ハムレット

ある日デンマーク王が急死しました。王弟であり伯父のクローディアスがデンマーク王の座に就き、母は時が立っていないにもかかわらず伯父と結婚、ふたたび王妃の座につきました。納得がいかないハムレットでしたが、父 (元デンマーク王) の亡霊によりその死は伯父による毒殺だったことを知りハムレットは狂気を装い復讐を誓いました

オフィーリア

オフィーリアの父でもあった宰相ポローニアスはハムレットがおかしくなったのはオフィーリアへの実らぬ恋ゆえではないかと解釈しますが、王の命令でハムレットに探りをいれていきます。やがて、王が父を暗殺したという確かな証拠を掴んだハムレット、ある日母である王妃と会話しているところを隠れて盗み聞きしていた宰相ポローニアスを、伯父 (王) と誤って刺し殺してしまいました

ハムレット

オフィーリアは度重なる悲しみのあまり正気を失い狂い、歌を口ずさみながら川へ出かけ、そのまま足を滑らせ川に沈んでしまいます。宰相ポローニアスの息子レアティーズは、父と妹オフィーリアの仇をとろうと怒りを燃やしました。ハムレットの存在に危険を感じた王はレアティーズと結託し、ハムレットを剣術試合に招き、毒剣と毒入りの酒を用意して秘かに殺そうとするのですが…

ハムレット

試合のさなか、王妃が毒入りとは知らずに酒を飲んで死んでしまい、ハムレットとレアティーズ両者とも試合中に毒剣で傷を負います。死にゆくレアティーズから真相を聞かされたハムレットは、王を殺して復讐を果たしたあと「事の顛末を語り伝えてくれるよう」親友ホレイショーに言い残し、死んでいくのでした。

 

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オフィーリアはどうやって描かれたのか

舞台となったホグスミル川

オフィーリア

オフィーリアは、テートコレクションで最も人気のあるラファエル前派の作品の1つです。ミレーは2つの場所でこの絵画を描いた、といわれています。彼はまず初めに風景を描き、その次にオフィーリアの姿態を描いたのです。彼はイーウェル市のホグズミル川のそばで、背景の一部を描き、ロンドンのスタジオでオフィーリアの姿を描きました。ミレーと彼のラファエル前派の友人たちは屋外で絵を完成させることも多かったのですが、これは当時としては珍しいことでした。

 

『オフィーリア』のモデルとなった美女

エリザベス・エレノア・シダル

ミレーのモデルはエリザベス・シッダルと呼ばれる19歳の若い女でした。エリザベスは川で溺れるオフィーリアのポーズをより忠実に再現するために、彼女は水で満たされたバスタブでポーズをとりました

オフィーリア

水を暖かく保つためにいくつかのオイルランプが下に置かれていたのですが、ときにはランプが消え、ミレーは作画に夢中になり気付かないもあったそうです。凍えたエリザベスは寒さから病気になり、彼女の父親から医療費を請求されたこともあったそう。しかし彼女は私立病院の治療により回復、ポーズをとっている間、エリザベスはミレーが中古店から4ポンドで購入した非常に細かい銀の刺繍のドレスを着ていたそうです。

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『オフィーリア』ができるまで

ミレーが残した下絵

こちらが、当時ミレーにより、製作前につくられたとされるスケッチです。『オフィーリア』は世界的に有名な絵画となるのですが、ミレーは『オフィーリア』を描くためにほんの少しの下絵しか用意していませんでした

オフィーリア

 

インスピレーション

悲しみに暮れるオフィーリア

ミレーの『オフィーリア』に描かれているシーンは、実際のは舞台では見られませんその代わり、ガートルード女王とオフィーリアの兄弟ラエルテスとの会話で情景が説明されます。オフィーリアは、彼女は父親のポローニアスが恋人のハムレットに殺されたときから、正気を失ってしまいました。まだ若い彼女は、悲しみに打ちひしがれ、狂気に苦しみながら死んでいきます。ガートルードは、オフィーリアが花を摘みながら川に落ちていき、その間ずっと歌いながらゆっくりと溺れていった様子を描写していくのです。

オフィーリア(前略)すてきな花輪を、垂れた枝にかけようと、柳によじ登ったとたん、意地の悪い枝が折れ、花輪もろとも、まっさかさまに、涙の川に落ちました。裾が大きく広がって、人魚のようにしばらく体を浮かせて―――そのあいだ、あの子は古い小唄を口ずさみ、自分の不幸が分からぬ様子―――まるで水の中で暮らす妖精のように。でも、それも長くは続かず、服が水を吸って重くなり、哀れ、あの子を美しい歌から、泥まみれの死の底へ引きずり下ろしたのです。(シェイクスピア『新訳 ハムレット』河合祥一郎訳、角川文庫、2002年)

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絵にこめられたメッセージ

背景の花が意味するもの

オフィーリア

『オフィーリア』に描かれたほとんどの花は、劇中で言及されているものです。これらはミレーが、実際にモデルとした川のそばに咲いていたものでもありました。彼は川の景色を5カ月かけて描いたため、一年のさまざまな時期に咲く花が隣り合っているのも特徴です

オフィーリア

ミレーは細部にまで気を配り、自然そのものを表現することにこだわりました本物の花のディティールがよく再現されており、枯れた葉や割れた葉、満開の花まで彩り豊かに描かれています

 

写真よりも繊細な、ミレーの自然描写

オフィーリア

写真は、ミレーがオフィーリアを描いた12年前の1839年に発明されました。しかし、写真は今日ほど鮮明ではありませんでした。ミレーのオフィーリアは当時の写真よりもディティールが細かく、リアルな自然がみごとに表現されていたといわれています。

ミレーの息子ジョンは「父が描く花があまりにもリアルだったので、学生たちを連れていくことができなかった植物学の教授がオフィーリアの絵の中の花を見に連れて行った」と書き残しています。まるで現実にあるかのような植物と、その中心に浮かぶ美しい女性現実と戯曲の世界の交わりが美しいまでに表現されているからこそ、『オフィーリア』は人々を魅了し続けているのかもしれません

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あとがきにかえて

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バンクーバー留学後、現地貿易会社にてインターン。貿易職を5年、世界30カ国以上の取引に携わる。通信会社にて通訳、翻訳に従事。フリーの翻訳やイベンター、司会業など複数の職を持ち英会話スクールのカウンセラーを併任。ダーリンはアメリカ人、ゆるゆる仲良くやっています。

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