イギリスの王位継承順位【チャールズ皇太子が国王となった場合に考えられる5つのシナリオ】

イギリス王室

2022726日、エリザベス女王の長男チャールズ皇太子は73になりました。皇太子が第一位の王位継承者として在位した期間は、英子史上最長となりました。彼が破った記録はそれだけではありません。彼は、英国史上最年長かつ最長の王位継承者でもあります。(現在の記録は、1830年に64歳で即位したウィリアム4世が保持)

この記事では、家系図で現在の王位継承順位を追いつつ、チャールズ皇太子が国王となった場合のシナリオを見ていきたいとおもいます。(2022年9月8日エリザベス女王が崩御されました。2021年に執筆した記事はそのまま残させていただきます。長期にわたる公務に敬意を評し、心よりご冥福をお祈りいたします。)

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家系図でみる、現在の王位継承順位

(参考:2021年時点の家系図【ザクラウン シーズン4がより楽しくなる相関図】をイギリス王室家系図と交えて徹底解説)

その後、エリザベス女王には、チャールズ皇太子の他にもふたりの男児 (アンドリュー王子、エドワード王子)が生まれました。しかし年月が経ち、チャールズ皇太子と今は亡きダイアナ妃との間にもウィリアム王子とヘンリー王子という2人の男児が誕生。

そのため、2022年現在の王位継承権は、

  • 1 チャールズ皇太子
  • 2 ウィリアム王子
  • 3 ジョージ王子
  • 4 シャーロット王女
  • 5 ルイ王子

となっています。

2位はチャールズ皇太子の長男ウィリアム王子で、以下王子と妻キャサリン妃の子供が並んでいる形です。

チャールズ皇太子の現在

チャールズ皇太子

在位中のエリザベス女王は、2021年現在95をむかえました。

チャールズ皇太子の「待機期間」は長くなっていくわけですが、実はその一方で、女王が高齢のために退いた王室任務を代わりにこなしている現状があります。任務の数は着々と増えており、週に7日間働き、英国皇太子として彼は女王と連邦の公務を代行しているのです。

チャールズ皇太子は、若い世代を守る役割について頻繁に語っているといい、72歳という年齢でも物事をのんびりとはせず、彼は近年、かつてないほど王室の仕事をこなしています

私生活においても、カミラ夫人との仲は順調

コロナウイルウスが流行る2年前の誕生日には、ムンバイとニューデリーにも出向きました。慈善団体であるBritish Asian Trustが教育を支援している地元の子供たちと祝辞を述べ、次にインドのビジネス界のリーダーたちと持続可能な市場イニシアチブについて議論。

子どもたちは彼にプレゼントと花束を渡し、大きなチョコレートケーキを切りながら 「お誕生日おめでとう」 と祝いの言葉ををかけた。彼は音楽祭の公演のためにそこにいたポップ歌手のケイティ・ペリーにも会っています。その後、現在の妻カミラ夫人と一緒にバンガロールを訪れました

彼の誕生日のために、カミラ夫人は特別なプレゼントを用意していたといいます。彼女のお気に入りの総合的な健康センター、ソウキャでの滞在です。30エーカーの有機農場でベジタリアン向けの夕食とヨガをしたりして過ごしました。その際、王室の他のメンバーは、彼らのソーシャルメディアのアカウントにお祝いのメッセージを投稿しており、家族の仲のよい姿も垣間見られています

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チャールズ皇太子がキングとなる場合のシナリオ

チャールズ皇太子

20214月、エリザベス女王の夫、エディンバラ公フィリップ殿下が亡くなったことで、英国の君主制をめぐる疑問が数多く浮上しました。2人の長男、チャールズ皇太子には一体何が待ちかまえているのでしょうか。

父帝ジョージ6が突然亡くなり、25歳で突如女王にならざるをえなかった母エリザベスとは異なり、チャールズ皇太子は、生涯をかけて王冠を受け継ぐ準備をしてきました。エリザベス女王は現在95歳で、歴代最長在位の英国女王です。彼女の父親は若くして亡くなりましたが、母親は101才まで生き大往を遂げた家柄です。

しかし、チャールズ皇太子がかつてないほど王室を掌握しているという報道がある中、彼は本当にすんなりと国王に即位できるのでしょうか。万が一、愛する女王が亡くなったとき、あるいはその前に王位が譲られる可能性もあり、さまざまなシナリオが考えられます。

① 女王の存命中に、チャールズが国王に就任

英国のマスコミの間では、王が年を取るにつれて、王位を息子に譲るかもしれなという噂が流れています。皇太子は、女王がまだ生きている間に、君主制のすべての責任を受け継ぐ準備が十分できています。これは 「リージェンシー(摂関政治)」 と呼ばれます。

しかし、エリザベス女王が王位を譲ることはないだろう理由も多くあります。「私は、女王が正式に引退したり、英国皇太子が正式に摂政に就任することはないと思う」というのは、歴史家のキャロライン・ハリス博士。女王は21歳の誕生日に放送されたラジオで、彼女は、長い人生であれ短い人生であれ、全人生を国民のために尽くすと誓っています。

実際のところ、「女王は16の英連邦王国の君主であるが、そのすべてが摂政の正式な規定を持っているわけではない」ようです。「リージェンシー制は、英連邦の一部地域での新知事の任命を複雑にするかもしれない」 といった様々な問題も孕んでおり簡単にはいかないのですね。

② もし女王が動けなくなくなった場合は、皇太子が摂政として機能

しかし、心身に重篤な疾患がある場合など、女王が実際に女王の役割を果たせなくなった場合には、チャールズ皇太子との摂関政治が成立することになります。ロンドン大学 (UCL) 公共政策大学院の憲法ユニットによると、医学的証拠が必要であり、次のうち3人が主権者が無能力であると宣言することに同意しなければなりません。(女王の配偶者、大法官、下院議長、最高裁判所長官、そして最高裁判所判事などですね)

といっても、実際は現在のように、

  • 女王が称号とある種の王室の義務を保持する一方で、
  • 息子であるチャールズ皇太子が、舞台裏でより多くの公的関与となり
  • より多くの意思決定権を引き受けることになる

となる可能性もあります。

エリザベス女王がそうであったように、チャールズ皇太子はすでに女王に代わって英連邦への外遊を引き受けており、今後数年間で英国における女王の職務をより多く引き受けることになるといわれています。

③ チャールズ皇太子は、”キングチャールズ”にはならないかもしれない

「チャールズ」 は、エリザベス女王が将来の後継者として命名する際の興味深い選でした。なぜなら、最初の2人のチャールズ王は、英国史上初めて、そして唯一君主制が追放された17世紀のイギリス南北戦争に関わっているからです。チャールズ1は首をはねらましたが、チャールズ2世は最終的に王位に復帰し人気を取り戻しました。

しかし、自分の名をそのまま用い「エリザベス女王 (2世) 」として戴冠したのは異例のことでした。実際他のほとんどの英国君主は、即位すると名前を変えていたのです。例えば、ビクトリア女王のファーストネームはアレクサンドリナでしたね。

皇太子の正式名称は、チャールズ・フィリップ・アーサー・ジョージ・マウントバッテン=ウィンザーです。チャールズ皇太子は、即位時にミドルネームを選ぶこともできます。ジョージを選ぶとすれば、彼はジョージ7世となり、彼の孫であるケンブリッジのジョージ王子は、やがてジョージ8世になる可能性が高いのです。

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④ カミラ夫人は、「王妃」になるかもしれない

(参考:【カミラ夫人の人柄 】ダイアナ妃を軽く蹴落とした彼女が、なぜ皇太子妃になれたのか)

その可能性は必ずしも高くないように思われましたが、現時点で王室ウォッチャーの間では、カミラ夫人はクイーン・コンソートという名前になるだろうと言われています。「チャールズが王位につく前に結婚し、カミラの知名度が高ければ高いほど、チャールズが国王になった時に正式な王妃になる可能性が高くなります」と歴史家はいいます。

なぜ今までそれが考えられなかったかというと、それは彼女が現在の肩書きを選んだことと関係がありました。カミラ夫人は英国皇太子の妃として『プリンセス・オブ・ウェールズ』になる資格がありますが、チャールズ皇太子の最初の妃ダイアナがその称号と密接に絡んでいたため、彼女はもう一つの称号であるコーンウォール公爵夫人を使っています。

カミラ夫人が二次的称号を使用したことから、チャールズと結婚した当時、彼女がチャールズが国王になった時に、王妃ではなく皇妃と称されるのではないかと推測されていました。しかし、特に彼女の人気が高まるにつれ、今ではその可能性は低くなり正式な王妃として認められるのではないかという声が高まっています。

⑤ 長男ウィリアム王子に大きな注目が集まる

(チャールズ皇太子の膝の上にいるのが、ウィリアム王子の長男ジョージ王子)

チャールズ皇太子が国王に就任すると、ウィリアム王子は、王位継承者に与えられる伝統的な様式を含め、新しい称号を得ます。「ウィリアムはチャールズがキングになるとコーンウォール公爵になり、ウェールズ王子として知られるようになるでしょう」 と歴史家は語りました。しかし実際はそれだけではなく、彼の父親であるチャールズ皇太子はすでに高齢であるため、ウィリアム王子自身が王位に就くのもそう遠くないかもしれません。

英国皇太子は70歳代で王位を継承するため、ケンブリッジ公爵・公爵夫人のウィリアムとキャサリン妃には大きな関心が寄せられ、ウィリアムが最終的にどのようにして王位に就く準備をするのかについても関心が寄せられるだろう」と噂されています。

そうなると、彼の長男であるまだ幼きジョージ王子にも必然と注目が集まっていくかもしれません。

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まとめ

(左がエリザベス女王とフィリップ殿下、右が現エリザベス女王と2人の王位継承)

チャールズ皇太子は、19481114 、バッキンガム宮殿で生まれした。当時は王女であったエリザベス2世ととフィリップ王配の長男であり、第63代国王になる人物として当時から何かと話題を集めてきたのですが、フィリップ王配が亡くなったことにより女王と皇太子の行く末に、更に注目があつまるようになりました。

この記事では、チャールズ皇太子が「国王」として就任した場合に考えられる5つのシナリオ、

  • 女王の存命中に、チャールズが国王に就任する可能性も
  • もし女王が動けなくなくなった場合は、皇太子が摂政として機能?
  • チャールズ皇太子は、キングチャールズにはならないかもしれない
  • カミラ夫人は、「王妃」になるかもしれない
  • 長男ウィリアム王子に大きな注目が集まる

をご紹介しました。

「永遠の王子」 と呼ばれることもあるチャールズ皇太子。記者にインタビューを受けた時も「王位に対して準備を進めている」 のではなく、ただ別の仕事をして自由を楽しんでいるだけだと、自身の年齢記録にユーモアを交えて答えたそうです。

何もわからないうちから女王となり、生涯の殆どを女王としての職務に捧げてきたエリザベス女王、イギリス王室の全てといっても過言ではない彼女の後を継ぐ存在への注目は日々大きくなっていっているのでした。

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管理人

歴史オタクの英日翻訳者。

スペインの児童書「ベラスケスと十字の謎 」に魅了され、世界史に夢中に。読み漁った文献は国内外あわせて100書以上。史実をもとに、絵画や芸術品の背景にある人間ドラマを炙り出します。

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