【巨大王朝ハプスブルク家の末裔は今】平和な帝国終焉、華麗なる一族の現在

ハプスブルク家

約650年もの長きにわたり、ヨーロッパに君臨したハプスブルク家。支配領地はロシアをのぞき、終焉間近でもヨーロッパでは最大だったと言われています。この記事ではハプスブルク家のその後と現在についてご紹介します。

この記事のポイント
  • ハプスブルク家は、1961年にオーストリアの王冠に対する権利主張を正式に放棄
  • 一時は国を追われるが、子孫の尽力によりオーストリア居住を許される
  • 帝国最後の皇太子は2011年に逝去、王朝支配は終わるも7人の子供は健在
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現在のハプスブルク家長

現在のハプスブルク家長は、嫡男のカール・ハプスブルク=ロートリンゲン氏最後のオーストリア皇帝であり、ハンガリー国王であったカール1世と皇后ツィタの孫にあたります。オーストリア在住で1996年から4年間欧州議会議員を務め、テレビの人気ゲームショーを主催するなど話題作りに尽くしたそうです。

自身では「カール・フォン・ハプスブルク」を称しておりますが、ヨーロッパ諸国の王侯貴族やローマ教皇、王党派からは、今でもなお、「オーストリア大公」「殿下」といった伝統的称号・敬称で呼ばれることもあるようです。また本人は表立って主張していないものの、オーストリア、ハンガリー、ボヘミア、クロアチア等の帝位・王位請求者とされています。

ハプスブルク家の政治的権力

現在家長であるカール氏が生まれた時、オーストリア共和国はハプスブルク家の入国さえ認めない」といった姿勢をとっていました

同年、父オットーはオーストリア入国のために、ハプスブルク王朝との絶縁や、あらゆる支配権を放棄しています。カール氏は、1919年の「ハプスブルク法 (ハプスブルク家がいかなる政治的役職も持つことを禁じた法律)」を変えるために静かに働いてきたといいます。しばしばオーストリア共和国の首相候補としても言及されてきた彼は、2002年に彼はUNPO(国連人民機構)の長となっています。

ハプスブルク法のしがらみ

現在のオーストリアでは「大公」「フォン」といった名乗りに至るまで、貴族称号が公的には一切認められていません。したがって、オーストリア共和国の居住者である子孫達は、名とその姓ハプスブルク=ロスリンゲンを使っているそうです。

しかしカール氏の場合は、父のオットーが「オットー・フォン・ハプスブルク」として知られていたので、同様に「カール・フォン・ハプスブルク」を称しています。ただし他の国に居住する家族は、その国の法律や慣習に従って、その称号を使用することもあるようです。 

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現在のハプスブルク婚姻事情

カール氏は、1993年にヨーロッパの上流社会でよく知られているフランチェスカと結婚し、3人の子供に恵まれました。フランツェスカとの結婚は、かつてのハプスブルク一族の家法に従えば『貴賤結婚』でした。貴賤結婚とはハプスブルク家の家訓であり、「帝位継承者の妻たる者は、カトリック国の王女ないし自国の場合は最上級の貴族出身でなければならない」というものです。

しかし、父オットーが一族の中で同意を得て1980年代に基準を緩和したことで、妻子の権利制限がなくなったのでした。現在はカール氏の長男のフェルディナント・ズヴォニミルが同家の推定相続人となっています。

帝国復古?

カール氏は、帝位・王位請求者としての直接的な言及は避けていますが、「君主制は時代遅れではない」との考えも持っており、将来的にはオーストリアなどにおける政体の変化もありうるという見解をしばしば述べてもいるそうです。

カール氏は、「皇帝とはなりたくてなるものではない」として、「もしハプスブルク君主国が存続していたなら、今日のような自由を得ることはできなかった」と自由を享受できていることに対する喜びを表明しているといいます。また自身が玉座に即くことを意味する帝政復古には消極的である一方で、貴族文化の保護には精力的であることも知られています。カール氏の兄妹もそれぞれ結婚をして子供をもうけ、それぞれの地で暮らしています。

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まとめ

ハプスブルク家は、1961年にオーストリアの王冠に対する権利主張を正式に放棄。時は国を追われますが、最後の皇太子オットーらの尽力によりオーストリア居住を許されたのでした。帝国最後の皇太子オットーは2011年に逝去、王朝支配は終わるも7人の子供は健在。カール氏の兄妹もそれぞれ結婚をして子供をもうけ、それぞれの地で暮らしています。

徳川の歴史が約260年、ロシアのロマノフ王朝が350年。ロマノフ王朝にいたっては、最後一家全員が暗殺されての終焉でした。流れた血や、不都合な事実はあれど、財産剥奪・追放などがあれど、ハプスブルク家の終焉は比較的平和的なものだったのかもしれません。

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